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  • 執筆者の写真Guth Marissa

プロセス・プロジェクト「触れ合い」

本企画の主要な要素である”プロセス・プロジェクト”。

演劇創作の場を半・公開し、作品に関わりのある人も、ない人も、流動的にあるいは間接的に、作品に触れていただくことを狙いとしています。

その契機となったのは、2020年コロナ禍によって、日本の演劇界と社会や地域の関係性がいかに希薄なものであったのか、突き付けられたことでした。


プロセス・プロジェクト①語らいを経て

②触れ合いでは、

・美術ワークショップ

・映像ワークショップ

・ダンスワークショップ

を行いました。

その様子を、こちらのブログにてご紹介してまいります。


そもそも、なぜ演劇創作過程において「座組外部」の方と「ワークショップ」をしたいと思ったのか。

それは、私(万里紗)の弟でダウン症を持つ仁くんが、長らく私のそばで演劇や文化、創作活動に興味を持ちながらも、なかなかそれを体験する機会や、職業の選択肢の一つとしてそれを考えるチャンスや資源が「健常者」と比較した場合少なかった、ということがあります。


特別支援級、特別支援学校を経て福祉事業所に通うようになった彼は、

在学時代たしかに音楽のコースや、美術のコースを体験する機会があっても、つねに「適性」を「診断」される環境下に置かれ、クラス全体の進み具合についていけなければ、違うコースを選択するよう勧められてきました。

ただし、「知的障害」や「ダウン症」といっても、もちろん特性も人格も十人十色。

弟の場合は、本当に自分が受け入れられているという安心感、信頼感が大切で、それが得られない場合には、特定の人に強く依存してしまい、そのために介助に時間と手間がかなり要され、違うコースを推薦されてきたのでした。

もしかするとそれは、環境や状況の工夫の仕方によっては全く違う結果が起こる可能性も秘めているものでした。

だけれど、日本の「普通級」の教育がそうであるのと同じように、限られた人数の教員や職員で生徒や利用者全体をケアするためには、それぞれの個性・特性に合わせた選択肢ややり方を用意するのは困難だったのです。そして、個人を提供する側の「枠」にはめていくしかなく、その結果、彼は「提示される限られた選択肢」の中から、自分の人生、自分の生き方を、選んでいくしかありませんでした。

もちろんこれは地域差・個人差があるもので、一概な語り方はできませんが、少なくとも私の弟の場合には、生きてきたうちに接する機会のあった「その人らしく生きる」ための方法は、非常に限られたものでした。


自分がどうやって生きたいかを考えたり、感じたりするためには、まず何より

「自分らしく生きる方法が世の中にはある」

と知ることが第一。


演劇創作の場を半・公開にし、座組外部の方も出入りすることのできる場にすることで、

地域の方にそんなことを感じるチャンスを提供できるのではないか、

そんな思いでこの「触れ合い」を行いました。




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